大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(う)1511号 判決

被告人 宮本健 外一名

〔抄 録〕

原判決援用の関係証拠によれば、原判示の如く被告人等二名及び原審相被告人三橋建司の三名共謀の上、茂木基予子を順次強いて姦淫し、その際同女に対し処女膜裂傷を蒙らせたものである事実を優に認めうるのである。

ところで(他人の暴行によつて傷害を蒙つたというような場合に作成される診断書はその事件の取調官に対する一種の報告文書と認められ、通常書面の意義が証拠となるものであり、その物の存在や状態が証拠となるものではないのであるところ、)本件医師津田栄造作成名義の茂木基予子に対する診断書(昭和三三年三月四日附)はその書面記載の意義が証拠となるものであり、その物の存在や状態が証拠となるものでないことは本件記録によつて明らかである。

而してこのように書面で、書面記載の意義のみが証拠になるのみで、その存在や状態が証拠となるものではない場合には、それは刑訴法第三〇五条に定める証拠書類であつて、同法第三〇七条に所謂証拠物中書面の意義が証拠となる証拠物とは認められないのである。(昭和二六年(あ)第一、七七七号、昭和二七年六月二六日最高裁第一小法廷判決参照)

原審もこの見解によるものであることは本件記録に現われている証拠調の方法及び原判示によつて明白である。

以下この点につき具体的に検討するに、原審第二回公判調書中証拠調目録には、証拠の標目として茂木基予子の診断書添附告訴調書(昭和三三年三月四日附)、立証の趣旨として第一の事実(茂木基予子が強姦された事実に該当している。)被害を受けた事実と告訴のあつた事実並びにその状況と記載されており、そして被告人等及びその弁護人においてこれを証拠とすることに同意したので、その証拠調が為されていることが認められこれによれば、原審は右第二回公判期日に右告訴調書及びこれに添附された右診断書をも共にその書面記載の意義が証拠となるものとして、即ち証拠書類として夫々適式に証拠調を施行したものであることを十分肯認しうるのである。

しかるに、原判決は原判示第一事実認定証拠の標目中に、茂木基予子の司法警察員に対する告訴調書とのみ判示し、これに診断書が添附されていることを明示していないので(これを明示することが妥当である。)恰も右第一事実認定の証拠に右断診書を援用せず、これを除外したかの如くに見られないこともないのである。

しかし乍ら本件記録に編綴されている右告訴調書を見ると、茂木基予子は右告訴調書作成に際し、診断書を提出したので、これを告訴調書の末尾に添附し、告訴調書と診断書との間に調書の作成者が契印を施していることが認められるのである。よつて原裁判所は告訴調書と診断書とは一体となつているものと解し、告訴調書と判示すれば、当然右診断書をも包含するものでこれをも証拠に採用したものとして、原判示の如く告訴調書とのみ表示したものと解するのが相当であつて、原判決は右診断書をも当然証拠に採用したものと認めるべきものである。

しからば、原判決は適法に証拠調が為された茂木基予子に対する医師津田栄造作成の診断書を同女に対する傷害事実の証拠に採用しているものと謂うべきであつて、所論の如くこれを証拠に採用していないものとは認められない。

(山本謹 渡辺好 石井)

註 本件は量刑不当で破棄

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